京都・祇園の暴走車突入17名死傷事件、容疑者に「てんかん」の持病
平成24年4月12日午後、京都市東山区で車が暴走し、交差点を渡っていた通行人を次々とはねた事故で、運転をしていた容疑者の男を含め死者は7人になった。
京都市でのてんかんのある人の車運転による交通事故に関して(抜粋)
日本神経学会
〜加害者(運転手)はてんかんの治療中であるにも係わらず、免許更新時に自己申告せずに運転免許の更新を行ったという報道もあります。再びこのような非常に痛ましい交通事故が発生したことからも、てんかんのある人の運転免許の取得、更新に関しては、より厳格な道路交通法の適用が求められます。まず、てんかんのある人には道路交通法の遵守が強く求められます。主治医にはてんかんのある人への車の運転に関する適切な指導、道路交通法を遵守した診断書の作成および診療録への指導内容の記載が求められます。てんかんのある人の運転免許の取得、更新については、警察庁(平成23年5月)からも関係者に周知する協力依頼があり、1)運転免許の取得時又は更新時に、警察に自身の病状を正確に申告する、2)自動車等の運転に支障がある場合、自動車等の運転を控える、3)運転免許を保有しているが自動車等の運転に支障がある状態が続く場合は、警察に相談するという内容です。てんかんのある人の車の運転については、「道路交通法改正にともなう運転適性の判定について」として、日本てんかん学会の見解が日本てんかん学会機関誌「てんかん研究」20巻135ページ(2002)および日本てんかん学会HPに公表され、「てんかん治療ガイドライン2010」にも記載されていますので、参考にして下さい。
てんかんをもつ方の運転について(抜粋)
日本神経学会会員各位
〜平成23年4月18日、栃木県鹿沼市において、クレーン車によるたいへん痛ましい交通事故が発生しお子様が亡くなられました。報道によりますと、今回の事故はクレーン車の運転手がてんかん発作を起こし、意識を失ったことが原因ではないかとされています。〜てんかんをもつ方の運転免許の取得、更新に関しては、より適切な運用が求められております。
日本てんかん学会の見解
「一定の病気に係る免許の可否等の適応基準(てんかん関係抜粋)」2てんかん(令第33条の2の3題項第1号関係) (5)なお、日本てんかん学会は、現時点では、てんかんに係る発作が、投薬なしで過去5年間なく、今後も再発のおそれがない場合を除き、通常は、大型免許及び第二種免許の適性はないとの見解を有しているので、これに該当するものがこれらの免許の申請又は更新の申請を行った場合には、上記(2)および(3)の処分の対象とならない場合であっても、当該見解を説明の上、当面、免許申請 ・更新申請に係る再考を勧めるとともに、申請取り消しの申請活用を慫慂することとする。
CQ18-2:「自動車運転免許についてアドバイスする点はなにか」
てんかん患者では次の場合に該当すると運転免許が許可される。免許の可否は、主治医の診断書もしくは臨時適性検査にもとづいて行われる。
国内でも虚血性脳血管障害患者へのアルテプラーゼ静注療法の開始可能時間を3時間から4.5時間に延ばすことについて「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で評価され、2012年8月に薬事・食品衛生審議会で公知申請の事前評価が終了し、保険適用が可能となった。わが国において、発症後3〜4.5時間の虚血性脳血管障害患者に対して本治療を適正に行うための診療指針を明らかにすることは、日本脳卒中学会の極めて重要な使命であり、今回の緊急声明をもって国内に診療指針を周知させることとした。 (推奨)
抗血少板剤服用中の検査、治療時の休薬の指針の変遷
日本消化器内視鏡学会は2006 年に「消化器内視鏡ガイドライン第3版」を出版している。当時は血栓の発生リスクを考慮せずに、抗血栓薬の休薬による消化器内視鏡後の出血予防を重視した内容となっていた。内視鏡時の抗血栓薬の休薬については、休薬による血栓症リスクが懸念され、対策として日本消化器内視鏡学会(JGES)は、2005年に「内視鏡治療時の抗凝固薬、抗血小板薬使用に関する指針」を作成し、可能な限り休薬期間を短縮するという方針を打ち出した。たとえば、アスピリンでは3日間休薬、チクロピジンでは5日間休薬、併用の場合は7日間休薬との指針を示した。休薬基準の普及を目指して活動している北海道大学のグループは、JGES基準2005を基に、より実践的な休薬基準である「札幌コンセンサス」を作成し、日常診療に導入している(日本消化器内視鏡学会雑誌、52〔10〕、2979、2010)。第98回日本消化器病学会(2012年4月)での発表は、その妥当性を検証する前向き調査の中間報告で、約3000例の登録段階であるが、基準採用以降で出血例の明らかな増加はないことが示された。また、休薬を伴う内視鏡処置に関連した血栓症が2例認められた。「札幌コンセンサスは、現時点では妥当な休薬基準と考えられる」との結論を報告した。
新しい抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドラインが平成24年7月26日公開の日本消化器内視鏡学会雑誌の52巻第7号に発表された。このガイドラインは、日本消化器内視鏡学会、日本循環器学会、日本神経学会、日本脳卒中学会、日本血栓止血学会、日本糖尿病学会と合同で“抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン”として作成されたものである。従来の日本消化器内視鏡学会のガイドラインは、血栓症発症リスクを考慮せずに、抗血栓薬の休薬による消化器内視鏡後の出血予防を重視したものであった。今回は抗血栓薬を持続することによる消化管出血だけでなく、抗血栓薬の休薬による血栓塞栓症の誘発にも配慮し作成された。
日本消化器内視鏡学会雑誌、54(7):2075-2102、2012
抗血小板薬関連
冠動脈ステント留置後2ヵ月
冠動脈薬剤溶出性ステント留置後12ヵ月
脳血行再建術(頸動脈内膜剥離術、ステント留置)後2ヵ月
主幹動脈に50%以上の狭窄を伴う脳梗塞または一過性脳虚血発作
最近発症した虚血性脳卒中または一過性脳虚血発作
閉塞性動脈硬化症Fontaine3度(安静時疼痛)以上
頸動脈超音波検査、頭頚部磁気共鳴血管画像で休薬の危険が高いと判断される所見を有する場合
抗凝固薬関連
心原性脳塞栓症の既往
弁膜症を合併する心房細動
弁膜症を合併していないが脳卒中高リスクの心房細動
僧帽弁の機械弁置換術後
機械弁置換術後の血栓塞栓症の既往
人工弁設置
抗リン脂質抗体症候群
深部静脈血栓症・肺塞栓症
※ワルファリン等抗凝固薬療法中の休薬に伴う血栓・塞栓症のリスクは様々であるが、一度発症すると重篤であることが多いことから、抗凝固薬療法中の症例は全例、高危険群として対応することが望ましい
内視鏡的粘膜生検は、アスピリン、アスピリン以外の抗血小板薬、抗凝固薬のいずれか1剤を服用している場合には休薬なく施行してもよい。ワルファリンの場合は、PT-INRが通常の治療域であることを確認して生検する。2剤以上を服用している場合には症例に応じて慎重に対応する。生検では、抗血栓薬服薬の有無にかかわらず一定の頻度で出血を合併する。生検を行った場合には、止血を確認して内視鏡を抜去する。止血が得られない場合には、止血処理を行う。
出血高危険度の消化器内視鏡において、血栓塞栓症の発症リスクが高いアスピリン単独服用者では休薬なく施行してもよい。血栓塞栓症の発症リスクが低い場合は3〜5日間の休薬を考慮する。
2010年10月29日より片頭痛(予防薬として)に対してデパケンR(バルプロ酸ナトリウム)が保険適用可能となった。なお片頭痛病名でデパケンRを投与した場合、特定薬剤治療管理料(血中濃度)を請求することができない。
続いて2012年8月31日、β遮断薬のプロプラノロール塩酸塩(商品名インデラル錠10mg、同錠20mg)に、「片頭痛発作の発症抑制」の適応が追加されることが決まった。この適応における用法・用量は、「1日20mg〜30mgより投与し、効果不十分な場合には1日60mgまで増量可。いずれも1日2〜3回に分割投与」である。薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会の事前評価において、「公知申請を行っても差し支えない」と結論されたため、正式な承認に先立って保険適用することが可能となった。
プロプラノロールが認められ理由は、(1)「慢性頭痛の診療ガイドライン」(日本頭痛学会、2006年)において、プロプラノロールの片頭痛予防効果がロメリジンやバルプロ酸ナトリウムよりも高く評価されていること、(2)欧米の幾つかのガイドラインにも使用が推奨される片頭痛予防薬として掲載されており、欧米では広く臨床使用されていることなどである。
6月25日、脳卒中治療ガイドライン(GL)2015が発表された。初版の2004年、第2版の2009年に次ぐ全面改訂である。2009年には5学会合同での発行であったが、今回は責任の所在をより明確にし、GLの信頼性を高めるため、日本脳卒中学会の中にGL委員会(委員長=岩手医科大学理事長・学長・小川彰氏)を設置。延べ156人の委員、実務担当者、レビュアーによる作業が行われた。
超急性期の頭位挙上や移送前からのrt-PA開始などを新たに推奨
「T脳卒中一般」の項目では、「脳卒中超急性期の呼吸・循環・代謝管理」に「体位」が追加。「低酸素血症、気道閉塞、誤嚥あるいは頭蓋内圧亢進がある場合は、15〜30度の頭位挙上を考慮しても良い(グレードC1:行うことを考慮しても良いが、十分な科学的根拠がない)」「主幹動脈の閉塞や高度狭窄のある症例では、脳血流維持を目的として水平仰臥位をとることを考慮しても良い(グレードC1)」が記載された。
高次施設移送前からの、遺伝子組換え組織プラスミノーゲンアクチベーター(rt-PA)投与に関する推奨などが解説されている。
脳梗塞慢性期のNOAC(注)に関する推奨を追加、脳代謝改善薬の推奨引き下げ
「U脳梗塞・TIA」では2012年のrt-PA静注療法の治療可能時間延長(3時間以内から4.5時間以内)に沿った推奨の変更(「発症から4.5時間以内のrt-PA静注療法(グレードA:行うよう強く勧められる)」が行われた。この他、薬物療法については、幾つかの薬剤でエビデンス見直しに伴う推奨の変更や非ビタミンK阻害経口抗凝固薬(NOAC)に関する推奨などが追加された。NOACについては、後述、NOACの項を参照。
「急性期抗血小板療法」に以下の推奨を追加:
抗血小板薬2剤併用療法(例えばアスピリンとクロピドグレル)は、発症早期の心原性脳塞栓症を除く脳梗塞もしくはTIA患者の、亜急性期までの治療法として勧められる(グレードB:行うよう勧められる)
「脳梗塞慢性期」の「再発予防のための抗血小板療法」(1)非心原性脳梗塞(アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞など)」におけるシロスタゾール(プレタール)の推奨レベルをグレードBからAに引き上げ。
現段階で非心原性脳梗塞の再発予防上、最も有効な抗血小板療法(本邦で使用可能なもの)はシロスタゾール200mg/日、クロピドグレル75mg/日、アスピリン75〜150mg/日(以上、グレードA)、チクロピジン200mg/日(グレードB)である
「脳梗塞慢性期」の「再発予防のための抗凝固療法」にNOACの推奨が追加
非弁膜症性心房細動(NVAF)のある脳梗塞またはTIA患者の再発予防にはダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバンないしワルファリンによる抗凝固療法が勧められる(グレードB)。頭蓋内出血を含め重篤な出血合併症は、ワルファリンに比較してダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバンで明らかに少ないので、これらの薬剤の選択をまず考慮するよう勧められる(グレードB)
脳出血急性期の降圧療法とCa拮抗薬微量点滴静注に関する推奨を追加
「V脳出血」では、脳出血急性期の血圧管理の新しい海外・日本のエビデンス(INTERACT2、SAMURAI-ICH)を踏まえ、「脳出血急性期の血圧は、できるだけ早期に収縮期血圧140mmHg未満に降下させ、7日間維持することを考慮しても良い(グレードC1)」が推奨された。さらにSAMURAI-ICHなどの知見を踏まえ、Ca拮抗薬の微量点滴静注(グレードB)およびニカルジピンの同治療への使用に関する推奨(グレードC1)が追加された。
無症候性脳血管障害への抗血小板療法「慎重に」から「勧められない」
「X無症候性脳血管障害」の項目では、新たなエビデンスの集積に伴い、2009年版から大幅に改訂が行われた。2015年版では「無症候性脳梗塞を有する例は全脳卒中および認知機能障害発症の高リスク群である(グレードB)」とされ、「MRIおよび頸部エコーを含めた経過観察が必要」との記載が削除。
2009年版では「慎重に行うべき」との推奨が示された、無症候性脳梗塞に対する抗血小板療法は「科学的根拠がないので、勧められない(グレードC2)」と推奨グレードが引き下げられた。一方、大脳白質病変に対しては新たに「スタチンが大脳白質病変進行を抑制する可能性があり、投与を考慮しても良い(グレードC1)」との推奨が追加された。
以前から心房細動などの際に心源性脳梗塞を予防する抗凝固療法薬として、ビタミンK拮抗剤(ワーファリン)が使用されてきた。ワーファリンは非常に良い薬剤ではあるが、次のような問題点もあった。(1)定期的に血液検査でPT−INR(プロトロンビン時間)を測定し、それを指標に投与量を調整する必要性がある。(2)効果の出現や消失に時間を要する。(3)投与量と効果の間に個人差が大きい。(4)ビタミンK含有食品の摂取回避(納豆、クロレラ、青汁など)が必要である。
そこで以前よりワーファリンに替わる薬剤の開発がおこなわれてきた。2011年3月より同種の薬剤であるダビガトランが登場し、非弁膜症性心房細動による心源性脳梗塞の予防に対し新規抗凝固薬が使用できるようになった。 2011年3月最初に承認された薬剤が抗トロンビン薬であるダビガトラン(プラザキサR)である。RE-LY J試験により、1日量220mgの場合ワーファリンと比べ、脳梗塞に代表される塞栓症の発症率(抑制効果)は同等、出血のリスクも同等(副作用も同程度)であった。1日量300mgの場合にはワルファリンと比べて、塞栓 症の発症率は33%減少、消化管出血のリスクも同等であった。全ての新規抗凝固薬の中で唯一1日量300mgのダビガトランがワルファリンに比べ塞栓症発症率の優越性を示せた薬剤である。2012年3月に承認された2番目の薬剤が第Xa因子阻害薬のリバーロキサバン(イグザレルトR)であ る。J-ROCKET AF試験により、ワルファリンと比べ、塞栓症の発症率は同等、出血のリスクは有意な差はないものの、75歳以上の高齢者でリバーロキサバンが若干増加させる傾向にあった。これらの薬剤は1日1回の内服で済むことは魅力の一つである。2012年12月に承認された3番目の薬剤が第Xa因子阻害薬のアピキサバン(エリキュースR)である。ARISTOTLE-J試験により、ワルファリンと比べ、塞栓症の発症率は同等、出血のリスクも同等であった。
最近、慢性硬膜下血腫に対する有効性が報告され始めた漢方薬がある。 それが五苓散である。この五苓散の服用で、手術をせずに治ることもあるし、これまで行われてきた保存治療の副作用、すなわちステロイド剤の長期投与に伴う易感染性や胃潰瘍の心配がない、あるいは通院を続けながら長期間にわたり浸透圧利尿剤を点滴を受けるといった煩わしさがないといった利点がある。
慢性硬膜下血腫とは、頭部外傷後、慢性期(通常1〜2ヶ月後)に頭部の頭蓋骨の下にある脳を覆っている硬膜と脳との隙間に血液(血腫)が貯まる病気で、この血腫が脳を圧迫して様々な症状がみられる。慢性硬膜血腫は通常、高齢者に多く見られ、頭部外傷と言っても、ごく軽微な打撲で起こることもある。一般的には頭部外傷後の慢性期(3週間以降)に頭痛、片麻痺(歩行障害)、精神症状(認知症)などの症状で発症する。基本的な治療法としては外科的治療(手術)が推奨されている。この病気は、手術が原則であるが、出血が多くない例や無症候例(症状がない場合)などでは、これまで保存的療法(非手術療法)として、ステロイドの使用、あるいは利尿剤〔商品名:マニトールやグリセオール等〕の連日点滴投与を行ったりしていた。しかし長期間の連用が必要で入院期間の長期化もあり、また、とくに高齢者などにおける電解質異常などの合併症の問題もあった。
片頭痛は古代より世界中にある病気で、周期的にひどい頭痛が起こり、一旦発症すると痛みのため通常の生活ができなくなるぐらいの状況に陥ってしまうことが多い。呉莱黄湯の有効性EBM(エビデンス)は、片頭痛、ヘリコバクターピロリ感染症、慢性頭痛、腰痛麻酔後の頭痛などに対し得られている。頭痛に関しては日本頭痛学会の「慢性頭痛の診療ガイドライン」に、1)慢性頭痛、2)緊張型頭痛に対する薬剤として紹介されている。また、「くり返す子どもの痛みの理解と対応ガイドライン−小児心身医学会ガイドライン集−」では、1)頭痛、2)片頭痛に用いるとされている。
丸山哲弘. 片頭痛予防における呉茱萸湯の有用性に関する研究 塩酸ロメリジンとのオープン・クロスオーバー試験. 痛みと漢方 2006; 16: 30-9主な結果
結果:頭痛発作の頻度、 ピーク値、トリブタン系薬剤の内服錠数のいずれにおいても、クロスオーバーデザインによる薬剤効果の差の検定の結果、呉茱萸湯投与群が塩酸ロメリジン(ミグシス)投与群に比較して優れた結果であった。 結論 :片頭痛の頭痛発作に対して、呉茱萸湯は塩酸ロメリジンに比較してより有効である。
認知症のBPSD(認知症周辺症状)に対する漢方薬の効果が注目され、抑肝散を使用する医師が増えている。認知症の症状は、認知機能障害からなる中核症状と、不安や焦燥性興奮、幻覚・妄想、暴力、徘徊などの行動・心理症状(BPSD)に分けられる。幻覚・妄想、夜間せん妄といったBPSDの精神症状について適応のある薬剤は現段階ではなく、抗精神病薬が適応外使用されていた。また認知症のうち、アルツハイマー病(AD)、脳血管性認知症に次いで多いレビー小体型認知症では、抗精神病薬の投与で薬剤過敏性や、運動機能の悪化などが現れることもあり、注意が必要であった。
福岡大学薬学部の窪田氏は、第32回和漢医薬学会学術大会で「抑肝散には認知症の周辺症状(BPSD)の改善だけでなく、動物モデルでは認知記憶改善の効果も示唆された。認知症治療の新しい薬剤として期待される」と述べた。窪田氏らは、認知症治療薬としての抑肝散の臨床応用を見据え、認知症モデル動物によって抑肝散の薬理作用の解明を行ってきた。同氏は「これらの治験から、神経細胞の保護や機能維持、神経新生に重要な脳内の神経栄養因子(NF)になんらかの栄養を与えているのではないかと考えた」と述べた。
アセトアミノフェノン(カロナール)は、小児や妊婦・授乳をされている女性の片頭痛の第一選択薬として使用されてきた。しかし、成人ではその鎮痛効果が乏しく、あまり使われていなかった。その原因が日本での使用量が、従来の用法用量が1回300〜500r、1日900〜1500mgと少なかったことにある。実際、アメリカでは、アセトアミノフェノンの用量は、1回1000mg、1日4000mgであった。日本でも2011年2月より、成人の鎮痛における用量が拡大され、1回1000mg、1日4000mgまで使用可能となった。